メンタルカレッジ 確認テスト(解答)

 

T.「うつ病」について(第1回メンタルカレッジより)

 

1) うつ病は男性よりも女性がなりやすい。

( ○ ・ × ) → 答え ○ 

(補足) 男性よりも女性がうつ病になりやすい傾向がある一方、自殺は男性の方が多く見られます。
 

2) うつ病の症状には、意欲の低下、興味の喪失といった抑うつ症状だけでなく、イライラする、じっとしていられないなどの症状がみられることがある。

 ( ○ ・ × )→ 答え ○

(補足) イライラと落ち込みの両方が現れる人は自殺のリスクが高いといわれています。

 

3) うつ病になると、脳の神経間を行きかう神経伝達物質(セロトニン)が過剰に分泌されているといわれている。

 ( ○ ・ × )→ 答え ×

(補足) セロトニンの量が少なくなっていますので、セロトニンの量を調整する作用を持つ抗うつ薬が広く使われています。

 

4) うつ病の治療の基本は「休養」と「抗うつ薬」を中心とする薬物療法である。

( ○ ・ × )→ 答え ○

(補足) 体だけではなく、精神的にもゆっくり休める環境が必要です。

 

5) 抗うつ薬は効果が出るまでに2、3週間かかると言われており、副作用が先に出ることが多い。

 ( ○ ・ × )→ 答え ○

(補足) 副作用が先に出るので、服薬を中止したくなる方もおられますが、継続して服用することが大切です。

 

6) 抗うつ薬は抗不安薬・睡眠薬よりも依存性がある。

 ( ○ ・ × )→ 答え ×

(補足) 依存性はないので安心して服用できます。抗不安薬・睡眠薬も身体的な依存はありません。

 

7) うつ病の人が「死にたい」と話した時は、すぐに否定することが自殺を防ぐために大事である。

 ( ○ ・ × )→ 答え ×

(補足) 自殺と聞くと驚いて「何をバカなことを言っているの」など言ってすぐに否定し、話をなかったことにしがちですが、本人にと って重要な話ですので、うつ病の症状であると理解して、出来るだけ落ち着いてゆっくり話を聴いてください。

 「死にたいほどつらいんだね」と共感したうえで、「元気なときのあなたの考えとは明らかに違っている、きっとその気持ちはうつ病が原因になっているんだと思うよ」などと応えて、精神科への受診につながるようにしましょう。

周囲の人が共感して話を聴いていくと本人は落ち着いていきます。

 話すことで混乱している気持ちが整理されますし、気持ちを受け止めてもらえたという安心感も出てきます。

 

8) 生活習慣病にかかっている人はうつ病にかかるリスクが高いが、その要因として、病気による多大なストレスや、血中を流れる脂質等の関連要因がある。

( ○ ・ × )→ 答え ○

(補足) そのほかの要因として、生活習慣病の薬(降圧剤、経口避妊薬、ステロイド等)がうつ状態を起こすこともあります。

 

9) 魚を食べるとうつ病予防になるという研究があるが、その研究では魚のカルシウムが効果的だと指摘している。

 ( ○ ・ × )→ 答え ×

(補足) 治りにくいうつ病の方に魚油(EPA)が有効であるという研究があります。

 

U.「発達障害」について(第3回メンタルカレッジより)

 

10) 発達障害は脳機能の問題によって起こるもので、ADHD(注意欠陥/多動性障害)児は側頭葉の働きが不十分なために欲求へのブレーキが効きづらいと言われている。

( ○ ・ × ) → 答え ×

(補足) 側頭葉ではなく、前頭葉です。理性、状況に応じた行動コントロール、注意集中などの働きをつかさどっている部位です。

 

11) ADHD児は「多動・衝動型(落ち着き無く動き回る、やりたいことを抑えられない)」と「不注意型」(集中力が途切れる、話を聞いていない)とその「混合型」に分類され、男児・女児とも同数程度見られる。

 ( ○ ・ × ) → 答え ×

(補足) 男児に多く見られ、男女比 5:1 と言われています(全体の発生率は5〜8%と言われています)。

 

12) 自閉症児の5割が精神遅滞を伴うと言われている。IQ70以上の自閉症児は、高機能自閉症、アスペルガー症候群と言われ、冗談やいやみがわかりにくいといった特徴が見られる。

 ( ○ ・ × ) → 答え ○

(補足) アスペルガー症候群児のその他の特徴として、「関わりを持とうとする欲求は見られることが多いが失敗しやすい」「常識がわかりづらい」「周囲からどう思われているのかに気付けない」「表情の読み取りが苦手」といったものがあります。

 

13) 発達障害児の周囲の人の誤解や、間違った関わりなどにより、不登校、引きこもり、非行、精神疾患などの2次的な障害を引き起こすことがある。

( ○ ・ × ) → 答え ○

(補足) 発達障害児に関わっている大人が良く陥りやすい状況として、「成績やIQがよいのでEQ(心の知能)の低さに気付かない」「性格の問題や努力不足だと捉える」「そのうち良くなると思う」「大きな障害ではないと思う」などがあります。また、発達障害は虐待の高い危険因子にもなっています。

 

14) 特別支援教育が必要な子供は通常学級の中にも1%程度存在すると言われている。

( ○ ・ × ) → 答え ×

(補足) 特別支援教育が必要な子供は、通常学級の中にも6%程度存在すると言われています。

(特別支援教育とは、従来の特殊教育よりも幅広い対象に適切な支援を実施するための新しい教育で、通常学級の中で支援が必要な子どもに対しても行われています)

 

V.「認知症」について(第2回、第4回メンタルカレッジより)

 

15)  せん妄は認知症だけでなく、他の病気でも見られることがある。
 
( ○ ・ × )
→ 答え ○

(補足) せん妄は病気ではなく、一時的な意識障害の状態です。幻覚、見当識障害(時間や場所がわからなくなる)、注意力・思考力の低下などが見られますが、様々な病気、例えば高熱が出た場合などにも見られることがあります。

 

16) うつ状態は初期の認知症の症状と似ていて間違われやすく、仮性痴呆とも呼ばれている。

( ○ ・ × )→ 答え ○

(補足) 認知症と間違われやすいものには、せん妄、老化による物忘れ、薬物による症状などがあります。

 

17) 人の顔が思い出せない、約束の時間を忘れるといったエピソードだけでは認知症の症状であるとはいえない。

 ( ○ ・ × )→ 答え ○

(補足)「痴呆の症状」と「単なる物忘れ」には違いがあります。

例えば、「痴呆の症状」では、「体験全体を忘れる」(例:食事をしたことを忘れる)というものがありますが、「物忘れ」では、「体験の一部分を忘れる」(例:食事の内容を忘れることがある)という違いがあります。

 

18) 認知症の診断には脳の画像を撮影するMRI、脳の電気信号を測定するSPECTという機械が使用される。

 ( ○ ・ × ) → 答え ×

(補足) SPECT は脳の血流状態を画像にしてみることのできる機械です。症状だけでは診断しづらい軽度の認知症診断に有効です。

 

19) アリセプトは認知症全般に効果のある薬で、認知症の進行を遅らせる作用がある。

( ○ ・ × ) → 答え ×

(補足) アリセプトはアルツハイマー型痴呆に効果があるお薬です。その他、れビー小体病にも効果があるといわれていますが、全ての認知症に効果があるわけではありません。

 

20) 認知症には現時点では治るといえないもの(アルツハイマー型痴呆、脳血管性型痴呆など)と治りやすいもの(ホルモン異常、ビタミン欠乏症、硬膜下血腫、水頭症)がある。

( ○ ・ × ) → 答え ○

(補足) いずれも早期発見・治療が大切です。正しい診断をうけて、それぞれの病状にあった治療を受けることが大切です。

 

21) アルツハイマー病では、脳に溶けにくく毒性のあるアミロイドタンパクという物質が蓄積することで脳細胞が壊れていきますが、このアミロイドタンパクの蓄積は50歳代から徐々に始まっていくことが多い。

 ( ○ ・ × ) → 答え ○

(補足) アミロイドタンパクの蓄積をチェックするために、PETなどを使った「アルツハイマードック」を50歳代ぐらいから受けることも予防の方法のひとつです。

 

22) 認知症で記憶の障害がある人でも感情の世界は残っているので、感情のしこりを残さないように本人のプライドを尊重し、相手の意見を否定せずに接する方がよい。

( ○ ・ × ) → 答え ○

(補足) 自分が認知症の方のように10分前、20分前の記憶がない状態、瞬間瞬間を生きている状態ならどうなるかなぁと想像することは介護者として大事なことです。また、本人のそれまでの人生から人となりを知ることで、より良い接し方が見えてくるかもしれません。